オープンソースと知的財産権

 ココでも述べた事がITmediaで記事になったので抜粋する。

オープンソース知的財産権 ―衝突から調和への期待―

 権利を行使する側とされる側の双方にとって、円満なライセンス契約の締結を実現するためのガイドラインや仕組みが整備されることが必要となってくる。概ねの対価やライセンス条件が定まっていて、それに則って無理のない合意が得られるような環境を作ることは、特許とオープンソースの調和に寄与することになろう。

 従来、たしかに特許は相手を威嚇し、市場を独占するためのツールであった。しかし情報分野においては、必要とする者にいつでもライセンスを提供することでその活用を促進するという考え方のほうが、自らの投資を回収するためにも、またソフトウェア技術の発展にとっても有効であろう。

 この考え方の1つとして、 強制ライセンス方式-業界用語で言えば「強制使用許諾制度」-が、特許法で、特許発明が3年以上不実施の場合(特許法83条)、特許発明が利用発明等である場合(特許法92条)、特許発明の実施が公共の利益のため特に必要な場合(特許法93条) に認められる裁定実施権という制度がある。これは、権利者所有者と利用希望者で協議してもらって、うまく合意できないときに所轄官庁が間に入って裁定を行うというものである。個人的には、ソフトウェア、特にOSSは別枠で管理すべきと言う考え方であり、現状の認識及び方向性としては一致するものがあるが、具体的な施策について書かれていなかったのは物足りなさを感じる。

 Mark Koek氏は、以下の論文で、以下のサイトで発明 (invention) と工夫 (innovation) を区別することは重要であると述べている。
フリーソフトウエアのライセンス

 イノベーションを殺すような現状の特許法を改善しない事には、産業界全体の損失であると言う事が、この提案の強い動機であると思う。