音楽CD輸入禁止

 輸入CDの輸入を禁止する法律が間もなく成立するようだ。

連載:輸入音楽CDは買えなくなるのか?

 この法改正では「建前上、還流CDを対象にしているが、法律の構成上はすべての輸入CDが対象になる」(川内代議士)。「還流を防止して国内レコード会社の利益を保護し、ひいては国内のコンテンツ産業を保護する」という目的の法改正が、いつの間にか輸入CD全般への規制と「すりかえられていた」(同氏)のだ。

 政党の動きも鈍いという点から見て、成立しそうな雲行きですが、消費者の強い反対の声に押されて、文化庁はこの報告書について異例の意見募集を行っているようですね。

  「文化審議会著作権分科会報告書(案)」に関する意見募集について

 この問題について、示唆に富んだ発言が有ったので引用する。

輸入盤を「非合法化」する著作権法改正

 問題は輸入盤が安すぎることではなく、国内盤が高すぎることだ。CDのコストの大部分は録音や宣伝などにかかる固定費であり、空ディスクの価格は1枚数十円にすぎない。逆輸入しても2000円で売れるなら、それが正常な価格であり、これは市場経済では当たり前の価格競争である。自動車も家電も、こうした逆輸入と競争し、価格を下げたり海外生産に移行したりして生き残ってきた。音楽産業だけが政府に保護してもらって「国際競争力の強化」などできるはずがない。

 個人的には、以下の2点が気になるところです。

 1つ目に、本質的な問題は、カルテット的な音楽業界にあるのに、それを指導せず、法的に規制しようとする政府の方針に問題があるということです。音楽業界の事情を良く知らないので誤解している点はあるかもしれませんが…

 2つ目に、この問題に対する一般市民の認識が低いということです。法律が議会に登壇する前に、一般の方の意見を十分に吸い上げるのが望ましいのですが、今回の場合は、そういったプロセスが見られないということです。原因としては、一般市民及びマスコミは、もともと著作権について余り関心がなく、専門家に任せっきりというような姿勢だったというのが大きな問題点だと思われます。こういうのを監視するNPO団体が日本には無いか有っても余り機能していないようです。欧米だとこういう問題は、一般市民の問題意識が高く、すぐに行動を起こせるので、早い段階で一般市民の権利が守られるという事があります。

 突き詰めて考えれば、日本の政治や法律に対して自主的な取り組みを行うためのスキルを身につける教育が欠如しているという問題にもなるかもしれません。