インターネットと選挙
総務省のWebサイトには、年代別の投票率が公表されています。この数字は、先日のRTC勉強会でも話題になっていました。
全体 59,86%
20−24歳 32,39%
25−29 38,47%
30−34 46,23%
35−39 55,91%
40−44 62,74%
45−49 66,55%
50−54 68,47%
55−59 71,68%
60−64 76,79%
65−69 79,09%
70−74 78,12%
75−79 72,98%
80以上 52,05%
★総務省Webサイト
http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/pdf/050817_2_5.pdf
前回は、若年層が3人のうち、1人しか行かなかったそうです。全く同等の調査ではないため、比較することは出来ませんが、参考までに、オンラインによる世論調査の結果を以下に引用します。
回答者のうち、20〜30歳代が過半数を占めていて、
20歳代 19.5%
30歳代 33.9%
40歳代 25.8%
50歳代 13.7%
60歳代 4.4%
70歳代 0.9.%
80歳以上 0.2%
このうち、97.9%が、選挙へ絶対行く、または行くつもりとネット世代の選挙に対する関心の高さを表しています。そもそも選挙に関心を持っている人が、このサイトを閲覧し、自主投票しているので、そういったバイアスを除外してもこの割合は、高いと言えましょう。
選挙情報専門サイトElection.
今回の選挙は、ネット世代の投票率が上昇したと仮定して以下の話を進めます。
今回の選挙は、劇場型選挙と言われたように、国民的大イベントであったように思います。その理由は、以下の通りだと感じています。
(1) 小泉首相の"郵政民営化を国民に問う" VS 岡田民主党代表の"負けたら辞めます"
→両者のカリスマ性が全面に出た対立構図がゲーム的要素を帯びていた
(2) マニフェストの登場による公約の明確化
→同一形式で公約を明示することにより、比較しやすくなった
→選挙民の期待が上がり、責任の度合いが増してきた
(3) BlogやSNS(YES PROJECT)などの新しいタイプの選挙活動の兆し
→ネット世代の関心を引きつけることが出来た
(1)〜(3)の理由を眺めると、以下の「カーニヴァル化する社会」という本に書かれていることと重なっている部分があるように感じました。
現代は、国家や民族などの文化や価値観を共有する共同体ではなく、
ある種の構造を維持していくことではなく、共同性 ーーー<繋がりうること>の証左を見出すことーーーをフックにした瞬発的な盛り上がりこそが、人々の集団への帰属感の源泉となっているのである。
という意味で、一時的に感情を共有することを重視した共同性の時代ですと書かれています。
「カーニヴァル化する社会」の文脈で言うと、人間関係が希薄になっている現代では、共同体に帰属することが少なくなってきており、その代わり共同性を求めるようになってきています。そういった現代では、永続的に何らかの団体に属するのではなく、一時的に盛り上がるコミュニティのような形で、揮発的に盛り上がる傾向があります。直近の例では、ワールドカップが例として挙げられる。今回の衆議院選挙でも、カーニバルという形で、ネット世代の人たちが、多く関わってきたのではないでしょうか。
そういった意味では、BlogやSNSは、直接的に選挙に影響を与えたのではなく、「カーニヴァル化」のプラットフォームとして、若干影響を与えたのではないだろうかと思いました。