Attentionのもたらす幻惑?(MicrosoftのライバルはGoogleではない)

Microsoftにとって、Googleは、Competitorsではなくて、Threatなのである。この2点を混同しているエントリが多いような気がしてならない。それは、Attentionがもたらす心理的影響が大きいのではないか。
Consumer Electronics Showにて、ビル・ゲイツ氏は、以下のようにGoogleについて言及していた。
Business & Financial News, Breaking US & International News | Reuters

 Media coverage focuses on Microsoft Corp.'s competition with Google Inc. , but Chairman Bill Gates sees IBM and not the Web search leader as its biggest challenger.

マスコミは、Microsoftの競合相手は、Googleであるとよく書いているが、ビルゲイツ氏は、IBMこそが、Webサービスの最大のChallengerとして、手強い競合相手であると認識していると述べている。

 "People tend to get over focused on one of our competitors. We've always seen that," said Gates, comparing the potential threat of Google's search capabilities to past competitors such as Internet browser Netscape and Sun Microsystems Inc.'s Java programming language.

過去のNS(ブラウザ)やSUN(Java環境)での競合相手になぞらえ、GoogleはあくまでもWeb検索サービスという限定した分野での競合相手に過ぎないという認識である。

 IBM, which offers computer services, software and hardware, poses a challenge to Microsoft in defining how Web services will work together in the future.

将来はIBMWebサービスに置いて何らかの協業を行いたい模様。IBMのHW/SWのバリューチェーンを利用する戦略でもあるのだろう。

もう1つエントリ(栗原潔氏によるMiscosoft社の論評で)を引用する。
駆逐艦のスピードで舵を切る戦艦マイクロソフト - ZDNet Japan

Microsoftが「サービスとしてのソフトウェア」のビジネス化に苦慮している間に、着々とユーザーと投資家のマインドシェアを獲得してきたのが言うまでもなくGoogleである。Googleはソフトウェア部品ではなく、アプリケーションそのものを提供すること、そして、広告収益モデルによりユーザーに対して高度なサービスを無償で提供することで成功した。

マインドシェアという意味では、Googleは非常に成功を収めた。ここのところ5年間、Googleは、APIを公開しユーザーが自由にサービスを使えるようにするといったユーザーエンパワーメントにより、ユーザーの心を捕らえ、また、ハイテクにより、アルファギークの知的好奇心を擽り、Attentionを集め、Attention Economyを築いて来た。
Attentionという面で、これまでWindowsの輝かしい時代を得たMicrosoftに変わってGoogleが注目を浴びるようになってきているという意味で、多くの人が、Microsoftの最大競合相手は、Googleであるかのような錯覚を持った、あるいは期待を抱いているのではないか。その結果、既存事業に対しては、直接競合はしないが、Web2.0などの新規事業に関しては遅れを取っているため、既存事業にも何らかの影を落としてきているのではないか。(ここら辺もう少し分析が必要なのですが、力不足により、纏めることが出来ませんでした)

明らかにMicrosoftにとってGoogleの存在は脅威だろう。Ozzie氏のメモにも「なぜ、MicrosoftGoogleのようにできなかったのか」というあせりが見えるように思える。

MicrosoftはAttentionの獲得という面で焦っているようだ。この事から、江島さんがCNETで書いているようにAttentionは2006年の重要なキーワードであり、各企業ともAttentionを如何にして獲得していくか戦略を打ち立てていかなければならないだろう。

【関連エントリ】
ブルーオーシャン戦略を取るMicrosoft社 - β. (Bee’s Blog)
kakihara.org - top
展望2006:アテンション・エコノミーの本格化 - CNET Japan
Site Under Construction
歳末サービス [パワポ版 ブログ、グーグル、アテンション]

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