次世代コンピューティング提案

 次世代コンピューティング提案には、色々なキーワードが出てくる。ハーモニーコンピューティング(日立)、オンディマンド・コンピューティング(IBM)、ユーティリティー・データセンター(HP)、N1(サン) などだ。IT革命によって、情報が蓄積され、システムが肥大し、現状のコンピューティング環境では、限界が来つつある。このため、各会社では、前述のようなキーワードを使用して次世代コンピューティングのコンセプトを提案している。この状況について、ちょっと古い情報ではあるが、米国の雑誌インターネットマガジンに詳しい分析が載っていたので紹介する。

相次ぐ次世代コンピューティング提案の正体を追う

 各社の提案や製品を見ると、次世代コンピューティングには3つの柱がある。ピザ・ボックスからブレード・サーバーへと進む方向がサーバーの「モジュラー化(Modularity)」と言う柱だ。一方、IT資源の集中化によって、コンピュータ能力の最適化と機動的な運用を狙うのが「バーチャル・サーバー(仮想化、Virturalization)」と言う2本目の柱になる。そして、3本目の柱は、仮想化されたIT資源をビジネスの状況に応じて機動的に変更したり、自動的に修復する「サーバー・オートメーション(Automation)」となる。

 この3つのベクトルは表裏一体の関係にあるが、大雑把に言えばオートノミック・コンピューティング(IBM)やサービス・セントリック・コンピューティング(HP)、ダイナミック・システムズ・イニシアチブ(マイクロソフト)などの提案は、コンピュータを活用する全般的な提案で、主軸は3番目の管理自動化にある。一方、オンディマンド・コンピューティング(IBM)やユーティリティー・データセンター(HP)、N1(サン)は、データセンターを舞台にした仮想化とモジュラー化に焦点を当てた動きだ。IBMを例にすれば、オートノミック・コンピューティングと言うもっとも大きな概念があり、その下にオンディマンド・コンピューティング(正確にはオンディマンド・オペレーティング環境)の提案を繰り広げている。

 各社ともその技術は、元々持っていたのだが、提案するきっかけがなかったのだが、システム管理の煩雑化という状況に応じて、このようなコンセプトとして提案されたのだと思う。このような、状況を一刻も早く感知し、上手にビジネスモデルに仕立て、イノベーションするのがIT業界で成功するキーと思われる。そういう意味では、業界でいち早くオンディマンド・コンピューティングを提案したIBM社は、かなり戦略が上手である。シスマティックにビジネスに出来る企業体質があるようで、そういう面が強みであると思った。