オープンソースと特許

 オープンソースは、特許と対峙するものだとよく言われている。

特許はオープンソースを奪うか

 多くの人々は、特許がオープンソースの致命傷になると考えている。その理由として、2つの傾向が不気味に合致すると指摘する。その傾向とは、ソフトウェア特許の利用が拡大していることと、知的財産の所有者がオープンソースソフトウェアのディストリビュータに対し、知的財産権を主張する動きがあることだ。

 オープンソースが、特許を侵害していない事はどこにも保証されていない。いや、保証されていないというより、オープンソース開発プロセス自体に特許を考慮したソフトウェア開発プロセスがないといったほうが、正確である。商用ソフトウェアの場合、利益の源泉である知的財産権を保護すべきであるため、特許や著作権について十分な検討がなされるが、オープンソースの場合は、そのプロセスがない。このため、オープンソースを商品化する場合は、このリスクを負わなければならない。オープンソースのもつ、イノベーション性を殺すのが、知的財産権の必要以上な保護である。
 近年では、レッシグの『コモンズ』をはじめ、知的財産権の過剰保護はイノベーションを阻害する、という主張がなされはじめ、特許や著作権についても見直すべきであるという意見も増えてきている。

特許による保護は本当に必要か

 情報プロセスでのイノベーションに、一時的な独占という報奨がなければ起こり得ないものがあるかもしれないと言いたいのではない。公益という観点で見れば、多くのイノベーションが独占に押し潰されるくらいなら、独占を要求するほんの一握りのイノベーションなど切り捨てた方がよいと考えているのだ。さまざまな調査でも、ソフトウェアの世界でイノベーションを駆り立てているのは競争であり、一時的な独占を意図的に作り出すことによって競争を阻害する特許政策ではないことが明らかになっている。

 オープンソースイノベーション性を殺さないような知的財産権保護政策を早急に政府はうちたてる必要があると思われる。