Blogのもつインパクトについて

 トランス斉藤さんが、同じくテクノラティジャパンのエントリに関して以下の記事をアップしていた。もう少し、考えるべきことが書かれていたので引用する。
ロングテール: アフィリエイトで食うトランス斉藤のブログ電記

■人を検索する
 ナレッジ・マネジメントの世界でも、情報を形式知化し、さらに形式知化された社内情報から必要な情報を探し出す、ということの非現実さに気付きはじめています。そもそも、そんなことをやっている暇はありませんし、形式知化された頃には陳腐化しはじめています。
それよりも、「あの人がその分野の専門家だよ」「あの人なら何かしってるんじゃない?」という「人」にコンタクトをとる方が、よっぽど早く用事が済むことがあります。社内でどの人が、どんな情報を持っているかを知ることの方が、大切なのです。なぜなら、「ドキュメント」であれば、その中にある情報がすべてですが、「人」であれば、その人が持つ情報のほかに、新たな情報源―別の「人」だったりかすかに覚えている「○○にある△△という本」であったり―を提供してくれる可能性があるのです。

 確かに、ドキュメント化されていない暗黙知に関しては、直接ビジネスに結びつく情報であれば、ヒューマンネットワークの方が迅速に入手できると思います。なぜなら、ドキュメント化される間のタイムラグを考えると、既にその知識を知っている人によって、活用され、その知識は陳腐化されているからです。ビジネスのアイデアを探し求めるのであれば、人材DBみたいなものにアクセスし、知っている人を検索できるようにした方が、より早く事業を立ち上げることができるでしょう。
 ただ、直接ビジネスを立ち上げるのではなく、様々な情報や知識を結合させて、innovativeな新ビジネスを産み出すのであれば、Blogは大いに有用であると思います。複数の知識・情報をほぼ同時に同一メディアにて入手することができ、その上で考えることができるからです。

■人と人をいかにつなぐか
 伊藤氏はブログは人と人をつなぐ新たなレイヤー(アプリケーション層の上?)と位置づけています。ブログの大半はパーソナルであるため、まさに人と人を結びつけるメディアといえると思います。自分にとって常に有用な情報を提供してくれるブログのリンク先も、大抵有用なものです。新しい価値が生まれるときは、大抵、人と人、それに付随するアイデアやその他のリソースが合わさったときです。この考え方をリコンビナント・イノベーションやテクノロジー・ブローカリングといいます。イノベーション研究ではよく知られた考え方です(詳しく知りたい人は洋書ですがHow Breakthroughs Happenという本に解説されています)。リアルタイムに人間と人間を付き合わせるほどのインパクトはブログでは出すことができません。しかしながら、それに多少近づくことができたのではないでしょうか。ブログのつながりで新しい価値を生み出すということはおそらく滅多に無いことでしょう。何故なら明確な問題意識と専門性を持った人々がうまく出逢うことと、ブログのつながりは違うからです。

 確かに、Blogの次元では、即座に人間同士が出会いビジネス話をまとめるような形には結びつかないと思います。
 ただ、通常の出会いでは得られないような細々としたつながりの先でのロングテール的な出会いがBlog上では、有り得うると思います。そう言った意味では、Blogは、新世代ビジネスの一形態とはなりうるとは思います。