イントラブログは普及するか(その5)

 梅田さんが、イントラブログについて、まとめた文章をエントリしていたので、抜粋したい。

http://www.shinchosha.co.jp/foresight/web_kikaku/u106.html

 まず最初に、

 情報を共有することによって生まれるスピードとパワーについて、私たちはもっと真剣に考える必要がある。

 と意見を述べていた。

 確かに情報を広範囲で共有できれば、それが何かが新しいモノを産み出すのは間違いないと思うし、そう信じている。ただ、何もかもむやみやたらとオープンにすればよいのかというとそうではなくて、組織間でのコンフリクト、組織内でのコミュニケーション秩序などを考慮して、情報共有を進めていく必要がある。既存の組織は、それなりに、上手く回っているので、そこに新しい方法を押しつけるのは、必ず抵抗にあって上手くいかないことが多い。情報の流通プロセスは、属人的であるため、やり方を変えることは、困難を極めることが多い。特に人間の頭の中にしかない暗黙知は100%属人的であり、やっかいであると思う。業務改革のようなHow to(仕事のやり方)を変えるようなレベルであれば、まだしも、InformationやKnowledgeのようなレベルだと、流れ方を変えるのはなかなか難しいことだと思う。梅田さんも以下のように、不可能に近いとおっしゃっている。

 できあがってしまった大組織では、組織内にさまざまな矛盾を孕んでおり、組織の構成メンバーのすべてを信用することなどできない。また組織内の個人という観点からも、貴重な情報を囲い込むことで専門家としてのアイデンティティを確立し、組織内での競争力を維持しようと考えがちだ。あらゆる情報を組織全体に向けて公開することなどできないのである。

 
 しかし、Googleは、経営者がスピードとパワーの源泉が、情報共有にあると考えているため、TOP DOWNで進めており、それが成功をもたらしているようである。

 三千五百人の公開企業となった大組織グーグルでは、創業以来の社内システムをそのまま三千五百人にまでスケールアップして、しっかりと使い続けているらしい。機密情報をやり取りする電子メールの仕組みとの併用ではあるが、大組織にとっては諸刃の剣のようなこの情報共有型組織原理を迷うことなく貫いているという。それはグーグルの経営者が、自らのスピードとパワーの源泉がこの組織原理にあることを強く自覚しているからなのである。

 既存の企業で、経営者が情報共有に価値を見い出している人は、多く居るとは思うが、社内の事情により、方針転換を行うことは、なかなか容易ではないと想像している。個人的には、組織間をまたがって情報を共有するハブ的な組織を設けることで、徐々に情報共有に関して意識を変えていく方法が良いのではないかと思っている。個人個人が、バラバラにブログを初めて、緩いつながりで情報交換をするのには、限界があると思う。また、ポータルサイトモデレータによるイントラブログの啓蒙や推進では、一個人にかなり負担が掛かるため、なかなか難しいのではないかと思う。ここは、組織的に運営する専任の部署が必要なのではないかと思う。