Googleの戦略

野村直之さんが最近のGoogleについて辛辣な批評を書いていた。

★実は“保守的”なGoogle Docs & Spreadsheets(Web2.0 for ENTERPRISE by 野村直之)

 Google Docs & Spreadsheetsの個々の機能についてはどうでしょうか。メニューのNew Documentを選択することで起動するWritely譲りのワープロ機能はともかく,表計算の方は,今年6月にリリースされた時点で,なぜGoogle Spreadsheetsの機能はライバルに劣るのかと評されたほどに,ベーシックな機能にとどまっています。グラフの生成や貼り付けなど,「Web1.0」時代にはとても予想できなかった高度な表現力を備えるiRowsや,Wiki表計算のようにわかりやすく構造化して協働作成環境を新たに創造しようとしている wikiCalcに比べると,どうしても見劣りします。Google Spreadsheetsには,私たちが見習うべき新たなアイデアも技術も見あたらないのです。

 これは、Webアプリの技術的限界ではないと否定しつつ、以下のように予想している。

 Google Docs & Spreadsheetsの意義は,データの置き場を「こちら側」から「あちら側」へ移させるビジネス戦略の一端に過ぎないのでしょうか。

 個人のWantやNeedを実現するプラットフォームをこちら(クライアント)からあちら(インターネットサーバ)へ移すためには、動機として十分な魅力がなければならないと考える。

 個人的には、以下の2つの戦略を打ち立てているものと予想している。

(1) 百貨店型のホールサービス(ホールプロダクトのもじり)の提供による囲い込み
→全ての品揃えを行うというのは重要なファクターであり、なるべく早い時期にサポートし、リードカンパニーとしての印象を植えつける戦略
(2) Webアプリの特性を生かした新規サービスの提供による新たな需要の誘発
→こちら側では見られない機能を、Webアプリという新しいプラットフォームでデータ相互間の連携機能などにより、実現出来る強みを生かすといった戦略

 ユーザがプラットフォームをあちら側に移すことは、必然的にデータがあちら側に移ることであり、中軸である検索サービスにとってもシナジー効果が上がるものと思われる。

 データの置き場は,個人や組織の活動,特に個人間,組織間の連係プレーを首尾よく進める上で,大変重要なポイントです。

 これからのGoogleがどのようにネット上の作業環境をどのように変えていくのか、目が離せませんね!