両ソース主義

 オープン(フリー)とプロプライエタリの両面を上手に組み合わせて、ビジネスとする考え方が最近浮上してきているようである。こういう考え方は、MySQLなどで既に実践されていたが、SCO問題をきっかけとして、両ソース主義が主流になりそうな感じがする。私自身もOSSの製品に関わってきた経験があり、完全フリーであることの限界を感じていた。何が限界かと言うと、リーガルリスクの面だ。著作権、特許など知的財産所有権の問題からリスク軽減、リスク回避など考慮すべき点が余りにも多すぎて、ビジネスの足枷となっているように感じていた。

「両ソース主義」がオープンソースに収益をもたらす

 オープンソースベンダーの多くは、フリーライセンスと商業ライセンスを折衷する道を選んでいる。一部の製品は無償ダウンロード提供し、独自の強化点には料金を課すというやり方だ。無料の製品を手に入れた顧客が「これは使える」と思ったら、さらなる機能強化やサポート、カスタマイズを求めるであろうという考え方だ。

 今回のカンファレンスの参加者の多くは、「両ソースモデル」(both source model)とも呼ばれるこのハイブリッド型ライセンス方式を、ユーザーの拡大と、企業の技術標準化に役立つものととらえている。

 フリーライセンスの下では、コードを追加する者は、そのソースコードを同じ条件で他者にも開放しなければならないとされている。このフリーモデルは企業にバグ修正と強化のメリットをもたらし、フリーの製品と商業製品の両方の品質を高める効果がある。また、製品の無償化はマーケティング戦術として強力であるため、市場シェアの向上が期待できる。しかし、顧客の中には、自社開発部分のコードを開放するよりは金を払った方がいいという考えの会社もあり、これがベンダーに財政上の見返りを生んでいる。