情報リテラシー教育の問題

情報リテラシー教育がすざんなようである。高校の【情報】の教科書は、間違いだらけの上、内容が【情報リテラシー】の本質に触れていない。ただ、PCを使うようになるレベルで終わっている。【情報社会で生きる術】を教えていないのである。

★高校情報教科書あら探し

HTMLについてはCSSのことをきっちり書いてある教科書は少ないです。いまだに「」が入ったり、文章の構造上おかしいタグが書いてあったりすることは、利用している側が「見た目」でしか判断しない、ということだと思います。

★情報リテラシー教育という虚妄

 多くの場合、情報リテラシー教育というと学部1年生のような入門者向けに行われると思うのだが、その場合そもそもレポートや小論文さえ満足に書けない段階であり、教えるべきは情報リテラシー教育の前段階である論理性・合理性の表現力であるはずである。高校でも教えられている内容ではあるが、対象がより専門的な「科学」(人文も科学である)になるわけであるから、再度行っておくべきことではある。必要十分条件、逆裏対偶などは、中学レベルではあるが、このような機会に今一度復習させるべきだろう。

 そしてそのうえで、図書からにせよ雑誌からにせよ新聞からにせよ、採取した情報を如何に吟味し、何を書くべきで何を書くべきでないのか、書くとすればどう書くべきなのか、そこまでいってようやく情報リテラシーである。

★【情報】学習要領

情報及び情報技術を活用するための知識と技能の習得を通して,情報に関する科学的な見方や考え方を養うとともに,社会の中で情報及び情報技術が果たしている役割や影響を理解させ,情報化の進展に主体的に対応できる能力と態度を育てる。

と、目標は立派。しかし、教科書実体が学習要領を満たしているとは言えない。また、以下に示すように教員の方にも問題が存在する。

★高等学校の情報教育の問題点(長野大学/地域と教育の情報化研究会 和田勉/高校における情報教育の現状、今後のあり方)

一番の問題はというか、自分の努力ではどうにもならない問題は、情報科の新規教員採用が少ないということです。

普通教科「情報」が発足した2003年度に情報科免許での採用があったのは、全国都道府県のうち埼玉県だけでした。

と教える側にも人材不足の問題があるようです。このままではまずいです。(1)教科書の質向上、(2)情報科教員の増員の2点を改善しないことには、デジタルデバイドの根本が解決しないと思われる。

このエントリを書いた後、以下の優れたエントリがあったので紹介する。
★メディア・リテラシーと情報リテラシー

本来メディア・リテラシーには読み解くだけではなくメディアを使いこなす能力や情報発信力も含まれるはずだ。メディア・リテラシーへの取組みで有名なカナダを始め、欧米の方ではメディア・リテラシー教育は学校教育の中の(日本でいうところの)「国語」の時間に取り入れられ、「読み解き」と「制作」(自分たちで番組やCMをつくるとか)「発信」(自分たちで冊子をつくったり、インターネットでの発信の方法を学ぶとか)の両方を行うことが多いようなのだが、日本ではなぜかこれらが切り離され、メディア・リテラシーの方が軽視される傾向にあるように思う。

極めて同感する。以前のエントリにも書いたが、メディア・リテラシーは情報社会を生きるに当たって重要なリテラシーである。私が、個人的に考えている能力は、以下の3点。

・情報収集能力:ネットから必要とする情報を入手する能力
・情報分析能力:情報を分析・解析し、より高次元の意味のある結論を導出する能力
・情報発信能力:自ら持っている情報・知見を、アクセシブルな情報としてネット上に発信する能力

これらの能力は、前出の学習要領にも織り交ぜられているが、debyu-boさんのおっしゃっている通り、何故か日本では軽視されている。この辺り、もう少し調べてみる必要がありそうだ。

★デジタルデバイドの原因