イントラブログは普及するか(その2)

 最近、イントラブログがHOTなので、またエントリします。皆は、なぜか社内ブログという名前を使用していますが、大抵は、社内にクローズドなネット環境に書かれているはずなので、また、クローズドでないと書けない事があることを強調したいので、私は敢えてイントラブログという用語を使用しています。

 イントラブログの伝道師の小川浩さん曰く、
社内Blogについて:Speed Feed:オルタナティブ・ブログ

  • 社内Blogは、読み手を必要とするので、大企業こそ普及しやすいし、必要である。

 これは、ちょっと違うように思います。そもそも読み手の数の問題ではなく、質の問題ではないでしょうか。また、質の良い読み手が組織の壁(社内規則、ネット運用などのルールや事業上のコンフリクト)によって、物理的、或いは、心理的に分断されて、コメントやトラバを打てない・打ちにくい状況であることも考えられます。大企業ほど、効率的なマネージメントを行う上で、官僚主義にならざるを得ない面があり、イントラブログの普及を阻害する要因はあるはずだと思います。

  • Blogはグループウェアの代用品にはならない。むしろサブセットとして使うからこそ価値がある。
  • Blogそのものが大事なのではない、情報を流通させることが大事であり、Blogはそのための道具である。

 Blogは、あくまでも情報・知識を手操るための一ツールに過ぎず、日常の業務をこなすグループウェアとは別の次元(サブセットというか、ベース)にあるべきものでしょう。日常の業務をこなすにあたり、情報・知識を迅速に入手する必要性は年々高まっており、グループウェアの画面上でBlogの読み書きは、できた方がよいでしょう。今後のグループウェアは、BlogやRSSとの連携が重要になって行くでしょう。そういった意味で、小川さんの会社が開発したガルーン2は注目に値すると思いました。
Cybozu.net

サイボウズは主力商品であるグループウェア(ガルーン2)で、日本で初めてRSSリーダーを標準装備し、更にデータライブラリを容易に作成できるナレッジマネージメントソフト(デヂエ)もRSS対応させています。つまりイントラネット内でRSS/Atomフィードを実際にビジネス活用することをいち早く提案させていただいています。

 また、前のエントリで引用したエントリを書いた江島さんの所属する会社(インフォテリア)の社長さんのエントリでもイントラブログについて書かれていました。
社内ブログは新しい社内コミュニケーションツールになるか?:Alternative 笑門来福:オルタナティブ・ブログ

 インフォテリアでの取り組みは、メールやグループウェアを置き換えようといったものではなく、新しい社内コミュニケーションツールという位置づけです。また、これらの運用は、50人程度の会社だから出来るということもあるでしょう。1,000人、10,000人規模の組織では適用不能かもしれませんが、それはベンチャー企業のメリットということで(笑)。

 インフォテリアの事例は、小川さんの言うところのサブセット的な適用ですね。小回りが効くベンチャー企業ならではのスマートな適用例ですね。
 最後は、トランス斉藤さんのエントリに言及して締めくくりたいと思います。
ブログの次にくるものは: アフィリエイトで食うトランス斉藤のブログ電記

■社内ブログはテクノロジー・ブローカリングを果たすか

ブログは当然テクノロジー・ブローカリング環境の一つだと思います。
できるだけ普段とは違う組織の人が出逢うほうが、イノベーションは起こりやすいのですが、実際にそうそうつながるものではありません。
ブログもそう。いつものお決まりのところが基本。でも、離れたAさんと贈さんも、つながるのがブログ。
Aさんと贈さんがつながったらイノベーションがおこる場合。Aさんがいつも見ているBさんのブログ。そこにCさんからトラックバックがあり、Cさんは少し違った視点で書いている。Cさんは同時に贈さんにもトラックバックしており、どうやら贈さんの意見を少しとっている模様。贈さんのブログを見てみると、まったく異なった視点からAさんの課題解決ヒントが提供されていた・・・
なんてことが、おこる?おこらない?

 イントラブログが真の意味でテクノロジー・ブローカリング環境となり得るためには、ある程度、企業文化が、Blogにマッチングしていないと難しいのではないでしょうか。ただ、イントラブログが増え、なんらかのきっかけで、ティッピングポイントに差し掛かれば、Blogによって企業文化が牽引されることはありうると思うし、そうなって欲しいと期待しています。イントラブログのポータルやRSSリーダーが整備されることも1つの条件だとは思いますが、それだけでは普及しないと思います。

 そのティッピングポイントを、どのようにして引き起こすか、今後考えてみたいと思っています。