バリアフリーOS

 WindowsMacにはよく知られているように、障がい者アクセシビリティを考慮した機能が用意されている。Winでは「ユーザ補助」、Macでは「フレンドリー・アクセス」と呼ばれている。しかし、Linuxには、このような標準でのアクセシビリティ機能はなかった。各ディストリビュータがオリジナルのアクセシビリティ機能を付与したものを提供する例はあるが…(株)ネットワーク応用通信研究所で開発したASUKAがそれだ。 この研究所の秋吉さんとは個人的にメールのやり取りをして、ASUKAを公開してくださいとお願いしたことがある。検討すると言っていたが、その後、連絡がない。そのあと、FSGにてLinuxで障害者支援技術のサポートを標準化したようだ。大変喜ばしい動きであり、心から歓迎する。これは、多分英語圏が中心と思われるが、日本語対応もサポートされることを心より望む。

秋吉秀俊・ネットワーク応用通信研究所社長室長 「バリアフリーの世界を開くLinux

 OSとして注目を集めているLinux。ネットワーク応用通信研究所島根県松江市)はLinuxをベースにした視覚障害者が使いやすいパソコンシステムの開発を進めている。年内発売の予定。視覚障害者はスクリーンリーダー(画面読み上げソフト)と呼ばれるディスプレーの文字情報を合成音声で読み上げるプログラムを介してパソコンを利用している。GUI環境のウインドウズよりもコマンドラインで操作可能なMS-DOSの方が使いやすいことから未だにDOS環境に依存しているユーザーが少なくない。しかし、一般市場ではもはやパソコン自体にDOSが入っていなかったり、インターネット用の適当なDOSアプリケーションがないなどの事情からウインドウズへの移行を余儀なくされている。DOS感覚で操作できるLinux視覚障害者にとって今後強力なパソコン環境になる可能性を秘めている。

FSG、Linuxで障害者支援技術のサポートを標準化

 WindowsMac OSと同様に、Linuxでも音声読み上げ機能や点字キーボードなど身障者のパソコン使用を支援するためのソフトウエアやハードウエアが数多く開発されている。だが、対応できるLinuxディストリビューションやアプリケーションが限られるため、その存在はあまり知られていない。そこでFree Standard Groupは、AT標準の確定によって、すべてのLinuxディストリビューションとアプリケーションで障害者支援技術を利用できることを保証し、LinuxをデスクトップOSとしてより広く普及させようとしている。